第十二話 崩壊の前兆







年は・・・犬夜叉と同じか少し下くらい。
時折黒色の混じる、染めた栗色の髪が、肩の辺りでくるりとカールが巻かれている。
かごめと同じ、細身で、でも割と長身で、ボディラインを強調したスーツスカートを着ている為か、
余計に見た限りではか弱そうな雰囲気のみを醸し出したような人。



それが、かごめが彼女を見ての第一印象だった。








「えっと・・・・コイツ、バイトの後輩の真柚。」

犬夜叉は、リアクションに困り、立ち尽くしているかごめに、彼女を紹介し、
「で、こっちは・・・・・」

「従妹のかごめさん。でしょ?」

「おう。」

説明の手間が省け、犬夜叉は短く返した。
そしてかごめの方にまた、向き直ると彼はかごめから重そうにしている荷物を取り上げ、云った。

「俺が仕舞ってきてやるから、お前は少し休んでろ」

ちゃんとしていたつもりが、フラフラしていたのだろうか?
何気ない犬夜叉の気遣いに、かごめは自然と顔が綻んだ。

それを面白く無さそうに見ている真柚の視線に気付かずに・・・・・












「ねぇ、かごめさんは先輩とはどういう関係?」

突然、そう訊いてきたのは真柚の方。かごめはきょとんとしていたが、犬夜叉の方は台所の方で思いっきり突っ伏していた。

「いっ・・・いきなし何訊いてやがんだっお前ぇーはっ!」

「え〜?だって気になるじゃないですかぁー。従兄妹って結婚出来るんですよー?」


―――びくっ。


それを聞き、かごめは一瞬、体を強張らせた。
・・・否、聞いた言葉ではなく、彼女の言葉の裏に隠れた殺意にも似た感情に、だ。

「・・・?・・・かごめ・・・どうした?」

かごめの異変に気付き、犬夜叉が声を掛けた・・・・と、同時だろうか。

不意に犬夜叉のジャケットに入っていた携帯が鳴り、かごめはふと、犬夜叉の顔を見た。

その携帯の番号を知っているのは誰なのかを、かごめは知っている。

自分も含め
―――他に知っているのは『仕事』の依頼の時のみに掛けて来る彼の親だけだ。

かごめは、犬夜叉がしている『仕事』とやらの詳しい事は知らない。
彼が人に知られるのを嫌っているという事もあり、かごめ自身もそれが何かというのは全く知ろうという気はない。

勿論、知られたくない内容の話を人前でする程、犬夜叉は抜けていない。

携帯を面倒くさそうに取り上げると、ベランダに出て行ってしまった。


かごめは暫く、彼の後ろ姿を見ていたが、

「ねぇ」

と、真柚に声を掛けられ、ふと我に返り、何?と返した。

「そのフード、取らないの?」

「あっ・・・・・・」

出掛けて、帰ってきた時からずっと着けていたフードを不審に思われていた事に、かごめは焦った。

「あの・・・・うん。ちょっと、ね」

どう云っていいやら分からず、そう曖昧に答えると、かごめは俯いた。
だが真柚は既にどうでもよさそうに生返事を返すと、ちらりと犬夜叉を見た。

今だ、何か話をしているようでこちらを向く気配は無い。

真柚は誰とも知れず、勝ち誇ったような顔で笑い、再びかごめに話し掛けた。
そして、不思議そうに顔を上げたかごめに、先程の頼りなさそうな顔とは打って変わり、冷たさを宿す眼を向けた。

かごめは背筋に冷たい物が走ったように感じ、少し肩を竦め・・・でも眼で続けるよう、促した。

「あんたさ。自分が先輩の重荷になってるって思った事ある?」

どきっ・・・・


「な・・・・・」

最も気にしていた事を突かれ、かごめは肩を痙攣させた。

「先輩、あたしにあんたの事、何て云ってると思う?」


小馬鹿にしたような態度で、困り果てたような顔のかごめを然も面白そうに見つめ、真柚はこう続けた。









「・・・『邪魔な従妹が居て、最近疲れてばっかだ』ってさ」










                                    【続】

・・・・・ごめん。一言でいい。一言だけでいいから言わせて。これ書いたのあたしだよ?ああ。分かってる。
でもね・・・・?
てっめぇ一回きりキャラのくせして何マイ★エンジェル(古)に喧嘩売っとんぢゃ――っ!!(怒)
・・・・今回一番言いたいのはこれだけです。他に云うとすれば犬夜叉んトコの仕事の通信手段がやっとアナログ(手紙)から今風(携帯)に戻った事でしょうか。
崩壊の前兆・・・・次は・・・崩壊。・・・・・・・・・・・・・自分で作ったキャラに文句つけるのも何ですが私は二重人格者は嫌いです。
特に好きな人の前では猫被ってるくせに恋敵の前では敵意剥き出しのタイプ。
勝負するなら正面から正々堂々かかって来いっつうの!(←変なトコ犬夜叉に似てる自分)