きっと、もう、ずっと。


















ずっとずっと、不安だった。





片足だけで立ってるみたいな不安。





どうやっても信じられないこころ。





だけれど、今はとても軽いよ。





ぎゅっと、抱きしめた。いっぱいの犬夜叉のにおいがとても心地いい
少しの痛みはまだ残るけど、それすらも今は幸せなの。

大好きだってことが、これだけ途方もない嬉しさをくれるなんて、私知らなかった。
大好きだってことが、これだけ途方もない悲しさを与えるのだなんて、私知らなかった。

少なくとも、あなたと出逢うまでは

これは幸せなのか、それとも不幸なのか、今の私には分からない

余裕なんてないから、今を受け止めるだけで精一杯だし、今のこの時を甘受できることを嬉しく思っている。

桔梗に悪いなって、感じないことはないけれど、抜け駆けかなとも思ったけど

だけどだからって、私の気持ち抑える気にもならなくて。




そんなの、私には関係ないって思っていたものが、結構あっさりと訪れて、私を苦しめた。
ずっと抱き締めて離してくれない犬夜叉の腕が苦しくて幸せだけど


この時はいつまで続くのかな?続けられるのかな?

私は、いつ貴方に棄てられるのかな?

いつまで好きだって、云ってもらえる・・・・・・・・・・・?


ずっと動かなかった犬夜叉の腕がそっと、私の頬に触れた。
犬夜叉の指が濡れるのを見て、私はようやく自分が泣いていた事を自覚した。

そして上げた顔の先にあったのは、犬夜叉の優しい顔。
「どうした?やっぱ・・・辛かったか?」

優しい顔が、辛そうに歪む。

私のこと、気遣ってくれてるって痛いくらい分かって、素肌で触れ合っている胸の辺りがちくりと痛んだ。
ううん。って首だけでも振ればいいんだろうけど、私は黙って犬夜叉の胸板に頬を寄せた。

「ねぇ・・・・・」

犬夜叉の髪の毛がくすぐったいなって思いながら、でもすごく気持ちいいなって思いながら。
「私、犬夜叉のこと 好きだよ。大好き」
「・・・知ってる・・・」

犬夜叉の腕に力がこもる。

「時々、好き過ぎて泣きたくなるくらい、好きなんだよ?」
「・・・・・・・・・・・・・」

犬夜叉はもう何も言わない。ずっと私の頭を撫でているだけ。
「だからね、時々思っちゃうの。どうして
―――

それ以上は決して云わない。云えない。そんな、残酷な言葉。
でも犬夜叉は、続きをせがむようにじっと見つめてくる。仕方なく、私は苦笑して首を横に振った

「犬夜叉は?」

「―好き、だ。好きって言葉が陳腐になるくらい、ずっと閉じ込めておきたいくらい、ずっと・・・・」

犬夜叉の言葉は震えていた。
紛れもない本心と同時に、彼にとって、とてつもない罪悪感に苛まれてしまうことになる、私への愛の言葉

犬夜叉は、私のことが好きで、私も犬夜叉のことが好き。だけど、犬夜叉にはもう一つ『好き』があるの



どんなに目を逸らそうとしたって、私にすら分かるその感情は

きっと私に愛を囁いてくれる度に、彼女を思い出させるの。分かっている。

だから、問い掛けるの。どれくらい好きかって。


ねぇ、犬夜叉

私って嫌な女かな。

卑怯な女かな。


どっちが好きなんて訊くの。

でも、私は体張ってるのに、犬夜叉は結局答えてくれないんだね
――
不意に、犬夜叉がぎゅっと私の体を抱き締めた。

きつくて、苦しくて、息が詰まりそうになって。
でもそれを嬉しいと感じる私

「犬夜叉、大好き。大好きだよ?ずっとずっと・・・これからも、今からも」

「知ってる・・・・」

「大好きでいてもいいのね?ずっと?これからも?」

「あぁ。俺もそうだから」

愛おしそうに細まる瞳。嬉しそうに緩む頬。その全てが、私は・・・・・

陽の光なんてない。まだ夜明け前だから。
でも、私にははっきりと犬夜叉の顔が見えた。きっと犬夜叉も、私の顔ははっきり見えてる。





大好きなの。そんな言葉が陳腐になるくらいに。

言葉で言い表せって云われても無理なくらいに大好きなの


だから当然、あなたは私と同じ大きさの愛を、私と同じくらいあの人に感じているの


私はあの人の代わりになんてなれないと、肌を重ねる直前に言ったその言葉を


苦く噛み締めて



そう。


私にあの人の代わりなんて、とてもじゃないけどつとまらないわ。


でも


あの人にだって、私の代わりはつとまらない。


だからそれほど落ち込んではいないわ。勝ち負けなんてないから


私はあのひとと同じくらい犬夜叉が好きだけど、あのひとも私と同じくらい犬夜叉が好き。

『同じくらい』だから、形なんて全然違う。

今のこんなやり方だって、私らしくないって思ってる。
するとそれを知ったみたいに犬夜叉は訊く。

「後悔、してるか?」
「全然」


むしろ余裕ぶって云ってみた。
後悔なんてしていない。嬉しいから。でも、同じくらい悲しいから。

「犬夜叉は?」




意地悪く、私は犬夜叉に微笑んだ。

でも答えなんて返させない。私への愛の囁きは同時に、あの人の影を犬夜叉に強く思い知らせるから。





してない、って形作ろうとした唇にちょっと強引に私のそれを押し当てた・・・・・












【終】

いきなりアブノーマルな話書きたくなりましたが所詮私のレベルじゃこの程度。
うううう事後だからまだ頑張ったよ 私?!純愛健全主義のこの私がよ?!(だから何)

余裕ある人好きだな私ってば相変わらず・・・。いや、余裕ないのも可愛げあっていいよ?(女の子に限り)
男で余裕ないのはちょっとどうかと思うが。嫌いではないけどね。
ちょっとかごめちゃんが・・・悪女風。と、言うべきなのだろうか これは・・・・・・?
ちなみにこれ、『かごめちゃんバージョンです。




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