*パラレル
悪魔の力は天使に効果絶大で、天使の力は悪魔に効果絶大。
暗黙の了解ごととして、それは護られ続けていた。
互いの領域を侵してはならぬ。互いの安寧を壊してはならぬ。
悪魔は破壊願望だの殺傷願望だのを持っていると恐れられるくせに、天使ときたら、人々に幸せをもたらすためにある神の使いと来たもんだ。そんなものは昔から信じていない。例外はいつでも存在する。たかが数億年前に出来上がった“中間”の世界のために、誰が自分の時間を割いてまで幸せを与えようっていうのか。
・・・・神がそう?
そーかよ。でも俺は違うし。一応、“天使”なんて薄ら寒い呼び方されてるけど、独り善がりな幸せを分け与えて貪欲な“人間”に慕われ続ける神の御心なんて知ったこっちゃねぇ。
そんな考えを持っている俺だからか、俺には悪魔の力は効かなかった。ま、人間で言う所の背徳的な考えを持つ俺は、位こそ上にいさせて貰っているが考え方はひたすら悪魔に近い。だから、俺は上位の天使で、“殺傷”専門。薄汚いものが嫌いで、地上で起こる戦争にさえ嫌悪を隠さない天使なんて五万といるけど、その天使が、同じ種族の俺が実は悪魔専門の殺しをやらされているなんて聞いたらどう思うかな。やはりお前は間違って天使に生まれた悪魔だとか、罵られそうだ。
人の意見なんか気にする程、やわな性格しているつもりもないけど、俺が本当に楽しんで、『均衡を壊す存在だから』と拝命頂いて、嬉々として悪魔を殺しているだなんて思っているのかねぇ。ムカつくことに、本来の慈悲という心はちゃんと俺なんかでも持ち合わせている。改善の余地があるって判断した悪魔だったら、俺の性格上穏便にとはいかないけどなるべく殺さない。
悪魔に対抗できる力があるっていうそれだけの理由で、殺しをさせられている俺の気持ちは、誰も分からない。分かってほしいとも思わない。むしろ、分からないでいて欲しい。俺は、そんなことで挫ける程弱い存在でもないからだ。人の世界と此処は、実はあまり変わらない。違う考えを持つ存在がいるからこそ話合いに意味があるんであって、即ち争いも必要になる。特に、悪魔は最初から目障りな“天の者”を消そうと動く奴だって存在している。そのために、俺が動く。てめぇらの安寧を、実は俺が護っているということに全く気付かず、汚い仕事を押し付けて、俺の殺しという行動だけを見て、俺に非難を浴びせる天使供の方がより俺には醜く見えた。
大体、何かの犠牲もなしに平穏が訪れるのなんて有り得ねぇ、ってことに、人間たちの例を散々見ているくせに気付けない天使の尻拭いさせられている俺は、そもそも何のために生きてるんだろうか。そう考えることが最近多くなった。
・・・・・・案外、俺は天使とか悪魔とかじゃなくて、馬鹿にしてる人間の考えが一番近いんだろうか。考えると胸糞悪くなったから、やめた。
暫くして、また上から有難くもない天命を戴いちゃった俺は、さっと“入り混じる場所”に降り立った。人間界を一足跳んでいきなり魔界に足を踏み入れられる、云わば協定を結ぶための場所だ。天使は魔界に入るとその力を衰えさせ、逆に悪魔も天界に入るとその力を衰えさせる。魔界の中に入り込んでも、俺はたいした影響力もないから平気だが、楽勝とはいかなくなる。一方的に攻撃が利くとはいっても、俺があいてをするのは必然的に上級の悪魔に限られる。あっちの独断場に入られると、さすがにこっちも深手を負うから、呼び出さなきゃなんねぇ。・・・・えっと、召喚とかいうやつだ。階級は、天界も魔界も統一されているのか、こっちの階級があっちより上の場合だけ呼び出せるってものだ。同じだったら五分五分。これで、俺が階級高い理由、分かったろ?
俺は懐から拝命書を取り出すと(実は真面目に目を通してなかった。どうせ殺しの内容だったて分かってるからせめて直前までは見たくねぇ)さっと読んだ。そして、いつもとは違う内容に思わず眉を顰める。
「“対象の悪魔を捕縛、無理ならば出来るだけ苦しめさせずに殺せ”?どういうこったよ・・・・」
内容を噛み砕いて、口の中で反芻させると俺はいよいよ本気で首を傾げる。普段なら、もっと明瞭に目的だけが書かれたものだっていうのに、ここまでいい加減っていうか・・・・抽象的な拝命書は初めてだった。苦しめさせずに、ってことは、楽に殺せってこと。殺し方にリクエストを入れられたのは初めてで、この悪魔が神にとって、なんらかの因縁浅からぬ相手だっていうのは分かった。でも、俺だって上級天使とは名乗っていても、俺の・・・・ムカつくが兄貴や、昔馴染みの女好き色ボケ天使(最近は特にアプローチ続けてた珊瑚をやっと落とせたらしいから色ボケ。)に比べれば、まだ下の位だ。その俺と同じもしくは下の相手が神といい意味で面識を持っているっていうのがひたすら疑問だった。
珍しく対象の悪魔に興味を持ちながらも、そっと両手を翳した。
面倒くせぇ手順を踏まなきゃ悪魔を召喚出来ないんだから難儀なこった。まぁ、悪魔だって天使呼び出すときはそうするんだろうけど。
「えっと・・・・・『掟を遵守し、これを求む。対象悪魔の名は・・・・“かごめ”』・・・・」
「はい?」
「うぉぁ!?」
にょこっと、ほとんど真横からかかった声に、俺は思わず変な声をあげて仰け反った。
いるなら声掛けろ!・・・・ていうか、何でこんな場所に誰かいるんだよ!?色々な文句が頭の中を巡ったあと、とりあえず落ち着くために深呼吸して、そいつに話し掛けた。
「・・・・・お前、そんな所で何やってる?」
少し、警戒心が露になりすぎた声に、失敗したかと思ったが、気にしない振りをして返事を待った。
がさ。
草むら(ああ、言ってなかったけど、この場所は一種の森みたいになってて、普通に植物もある)が揺れて、相手が出てきた。声で予想はできたものの、少女の顔形を持ったそいつは、俺の声音もなんのその。きょとんとこちらを見上げながら首を傾げた。
「あなたこそ。・・・・・あなた、天使でしょ?どうして魔界に・・・・私に何か用?」
どうやら頭は悪くないらしい。『私に用』と聞くということは、この少女が“かごめ”ということか。
目線で問い掛けると「私の名はかごめ。あなたが呼び出そうとしていた悪魔よ」とそいつは答えた。
そもそも、俺はこのかごめと名乗る悪魔の姿を見て、最初に感じたのは驚きだ。天使も悪魔も、本来は人間みたいに性別はない。俺くらいの階級にまで行くと、はっきりとした性別を確定させることはある。特に俺みたいな、天界にとっちゃ戦闘専用みたいな奴は絶対に男だし、平穏を望んで幸せを生み出すために存在するのは女。悪魔も似たような決め方なんだろう。でも決定的に違うのは、悪魔には本能的に破壊願望を持っているから、大抵は間違いなく男だということ。俺が今まで狙った奴も、全部が男型か、無性型だった。奇特、とは言わねぇけど、悪魔で女型を取っているのは珍しかった。
黒曜石みたいな黒髪や、紫水晶みたいな瞳。均衡があって、華奢で白い肌を持っている、魅惑的と呼べる容貌の持ち主だ。但し、本人はいたってあっけらかんとした性格らしいから、綺麗と呼べなくもない容姿も“可愛い”と形容した方がいいくらい小動物じみていた。普通、悪魔の女って、人間を誘惑するための美貌を兼ね揃えて色っぽい雰囲気醸し出してるものなのに、かごめにはそういったある種の不健全っつーか、色気とかそういう意味では他と違いかなり健康的なものを持った奴だと思った。・・・言っとくが、これはあくまで俺の今まで見た一般的な悪魔の中での見解であって、俺の趣味とかで言ってる訳じゃねえからな。弥勒じゃあるまいし。
「あなたは?」
黙って立ち尽くす俺に、かごめは尋ねた。一瞬何を問われているか分からなくて茫然とするが、名を聞かれているのだと気付いて、素直に答えようと口を開いた。
「犬夜叉・・・・」
「・・・・変わった名前ね」
素直な感想を口にしたかごめに、俺は少し好感を覚えた。そこにあるのが嫌悪でも悪意でもないと分かったからだ。
まぁな、と同意すると、かごめはでも、と付け加えた。
「いい名前だと思うわ。“犬”も“夜叉”も、加護する者っていう意味だもの」
「・・・へぇ」
自分の名前に疑問なんて持ったことはなかった俺は、他人に教わる自分の名に少し驚きながら曖昧に相槌を打つ。
俺の心情に気付いたのか、かごめはくすくすと笑った。
「興味なさそうね。・・・・名前は己をあらわすものって言わない?召喚に使われるくらい大切なものなんだから、自分のくらい把握してなきゃ」
自分よりよっぽどそういうことに詳しそうなかごめの言葉に、俺はちょっとむっとなった。・・・そりゃあ、そういうことになると面倒になって学ぼうとも思わなかったのは俺だけど、悪魔のこいつに指摘されるのはまた別の意味で悔しい。いや、そんなことよりも。
「っともかくっ!俺は神から拝命受けて、お前を呼びにきた」
「呼びに?殺しにじゃなくて?」
なんでもないことのように、かごめが再度首を傾げるものだから、俺は言葉を失った。そのあまりの他人事な態度に呆れたせいかもしれない。
「・・・分かってるなら、どうして怯えない?自分のことだろ。・・・・いや、それより何故それを知っている?」
このかごめっていう悪魔の性格は、さっきの会話だけでなんとなく察せたから、怯えないことへの理由は分かる。けど、俺がそういうことを専門に行っている奴って知っているのはかなりおかしい。天使だの悪魔だのが住む世界は天界と魔界と呼ばれ、よほどがなければその二つの世界が交わることはない。だから、こうやってトラブルが起きるとそれを片付ける天使や悪魔が派遣されることはあっても、お互いに存在を知られることはない筈だ。特に悪魔は他人のことなんかどうでもいいと思っている奴が多い。じゃなきゃ天使や人間どころか、時折同属さえも糧にしちまうとんでもないのが跋扈して、恐れられている筈がない。他人をどうでもいいと思っている群れの中から問題児が一匹や二匹唐突に消えたところで誰も何も思わない。だから噂が流れることもない。
何故、それをかごめが知っているのか。腑に落ちない疑問だったが、かごめは何のこともないとでも言いたげに、あっさりと種明かしをしてくれた。
「あなたが、問答無用で襲い掛かってくる輩だったら私だってあなたを迷わず殺していた。・・・・名前の由来を言った時点で気付くべきね。私の方がはっきりと名に現れているわ。“加護”の“目”。・・・・あなたと同じ種類の悪魔よ」
但し、何が楽しいのか、対象を殺して戻ると天界とは違って、褒めそやされるけど。
「あなたに私の攻撃が効きにくいのと同じように、私にもあなたの攻撃は効きにくい。“魔に寵愛される者”だからよ、“聖に寵愛される者?”」
苦しげに顰められる眉根とは対照的に、かごめの口元は微笑んでいた。どくりと体がざわつく。馬鹿な。
今まで一度だって、悪魔の誘惑に負けたことはなかった。それ以前に、引っ掛かることも出来ない体だ。しかも、さっきまであんなに愛らしいとしか形容できなかった容姿の女がいきなり妖艶な笑みを向けたからといって、それだけで、何故。疑問に思い、そしてひとつの可能性に気付いた。種族はどうであれ、俺とこいつは同属らしいから。試しに殺傷能力の低い衝撃波をかごめに向けて放ったが、それは届く寸前に気が抜けたようにふわりと空気の中に霧散した。
「ずっりぃ」
「何が?」
本当に疑問に思ったらしいかごめが笑みを消して問い掛けた。その拍子に、さっきまで俺の中にあった息苦しさが解ける。
「言ったでしょ?私に聖者の攻撃は効かない。」
その言葉で、途端に二つの事実に気付く。一つ目は、この悪魔は自分の容姿についてこれといった拘りを持っていないせいか、人を見た目の色気で惑わそうとしない自覚無い悪魔だってことと、さっきの息苦しさってもしかしなくても俺がこいつに・・・・・・・・・・・いや、それは考えないでおこう。今更こんなことでいちいち挙動不審に陥ってる自分なんて情けなくて目も当てられねぇ・・・・。
何にせよ、あっちはこっちに害を与えるつもりがまったくないということは分かった。ついでに、何故俺と同属かっていうことの意味も。
考え方がひたすら俺なんかより天の者に近いんだ。俺が、魔に近いのと同じくらいに。そこまで考えると、ついさっき言われたかごめの台詞にようやく疑問を感じた。
「“魔に寵愛される者”と“聖に寵愛される者”って?」
「・・・・・・知らないの?」
本当に驚いたようなかごめの表情に俺は決まりが悪くなる。口の中で小さく放っとけと毒づくと、かごめが更に母親みたいな表情で笑ってくるから(そもそも天使や悪魔に母親なんて概念はねぇけど)俺は拗ねたように腕組してそっぽを向いた。
「魔と聖の均衡と、人間界の均衡の保つための存在で、寵愛されるべき者。たとえ神や魔王でさえ傷付けてはならない存在。それが私、と犬夜叉ってこと」
「・・・・位は神より下、神の命令には逆らっちゃいけねえっていうのに?」
「それはフェイクよ。周りにそうとは悟られてはいけない為の。本当は本人でさえ知り得ない、神か魔王しか知らないことだもの」
「じゃあ、なんでお前は知っている?」
「・・・・みんな知らないけどね、私は魔どころか、魔王そのものの寵愛にある身だから」
だから特別、と悪戯っ子のような笑顔でかごめは人差し指を立てた。なんか苛々するのは気のせいだ、と自分に言い聞かせながらも話を続ける。長ったらしい話は嫌いだが、こいつの声なら何故か不快にならなかったし、何より俺ももう少し情報が欲しい。知らないことだらけで混乱する。
「私は世界を魔王様の代わりに見つめる『目』。世界が滅ぶ因子を壊し、魔界を護るのが役目。私を連れて行くというなら、それはつまり魔界へ滅べと宣告しているようなもの。・・・・私は本来魔の者よ。身が朽ちるまで闘うわ」
なるほど。拝命文の曖昧さはこういうことか。
妙な納得をしながら俺は肩をすくめた。正直、こいつとは戦う気がない。思ったよりも自分で気に入ってしまったらしい。でも命令にそむくことは赦されない。それは分かってるつもりだ。だけど。
「出来れば俺は、お前とは戦いたくない。」
「私もよ。出来れば帰って悪魔は屈しなかったと伝えてくれない?」
「・・・俺に怒鳴られろってか?」
冗談交じりでいうと、笑ってかごめは答えた。
「あなたは、背徳的だからやってくれると思ったけど」
「・・・・・なんで?」
「神様を神と呼ぶから」
「それを言うならお前もだろ」
身も心も捧げて誓うべき相手にすら屈することをしない天使と悪魔ってやつか。
それも悪くない、と思った。やっぱり俺は天使にゃ向かない。
自嘲の笑いを浮かべると、俺はそっと手をかごめに差し出した。
「いずれ争いになることは避けられない。しかも、天界魔界っていう大規模で。それでもお前はここに残るか?」
分かっていたことだろう。かごめの体が小さく震えた。戦慄き、何か言葉を紡ごうとした薄桃の唇を噛み締め、きっ、とかごめはこちらを睨み付けた。そして、ふとその視線を外して力なく笑う。あなたにあたっても仕方がないわね、とかごめは呟いた。
「私があちらへ行き、魔界に何の得があるというの?」
「魔界には、何もないだろうな。けど」
「お前には、あるだろ」
何が、と尋ねかけたかごめの腕を掴んだ。普通相容れない存在同士の聖魔がなんの干渉もなく触れられることに安堵したまま、俺は言った。
「魔界はお前にとって大切な場所なのは分かる。けど、なら逆に訊く。お前があの場所にいて、何の得がある?」
「天界はそれじゃあ、いい場所だというの?」
「少なくとも俺は嫌いだな。だけど、また新たな協定を結べば」
そこまで言って、ようやく俺は神の手のひらで転がされていることに気付いた。癪だ。でも、構わず伝えた。
「お前は絶対に“こっち”にいるべき人格だと俺は認定した。むしろ、いるべきだ。神が考慮したのはそこだろう?役目を真っ当する立場としてではなく、個人としてお前の身を案じているから。いくら手を出せないとはいえ、女型の悪魔は不利だ」
「個人はすでに捨てた。私は守護者よ。誰にも指図は受けない」
「俺は守護者である前に個人だから、個人のためなら役目だって捨てていい」
「な」
俺の言い草に、慌てたようにかごめは顔をあげた。
「なんてこと言うの・・・!私たちは自分たちの領域を護る為に・・・・・・!」
「人間界にはそんなやつ、いないけどなんとかなりたってるぜ?」
「それは、私たちが一緒くたで護っているから・・・・」
「・・・俺は、あと神も。別にお前に守護者をやめろとは言ってねえ筈だ。ただ、定住の場所を変えろって言っているだけ」
「・・・仲間を裏切ることになる」
「お前の言う仲間は、誰だ?魔王か、魔界か」
「どちらもよ」
頑ななかごめの態度に俺は思わずため息を吐いた。自分の故郷を見捨てろと言われてはいそうですかと頷く筈もない。無理もない持ちかけだ。魔界にとっては不利になることばっか。だけど、俺は天界に魔界の守護者を持っていきたいと言っているわけじゃない。かごめっていう悪魔の意思を聞いている。頭いいくせに、ここだけは物分りの悪いふりして言葉をかわすのでどうしようもなかった。
(本音を言えば、くるっていうのか?)
俺が、役目とか抜きにしても、お前のこと連れて帰ったほうがいいって思ったからって?
天使の性分がお人よしだっていうことをこじつけにして、言うか?
・・・・・はっ。それこそ大嘘だ。俺の性に合わねえ。
「俺が勝手に決定はできないけど。『守護者がこちらにある限り、こちらは魔界に手を出さない』ってのも可能だ。俺が、お前を浚った」
ぽかんと見上げるかごめに俺は笑いかけて手を伸ばした。
「人間の言葉で言えば、俺はお前に一目惚れしたってことだ。そして、種族の違いに悲観してお前を浚った。それでいいだろ?どうせ、誰も俺らに危害を加えられないってんなら、それを利用してやりゃいいじゃねえか。俺は守護者も捨てねえけど、個人も捨てねえ。それだけだ」
「ばかじゃないの・・・・」
顔赤くして言われたって怖くねえっての。言ったあとに少し恥ずかしくなった俺は、かごめの反応につられて思わず赤くなった自分の頬を捻って無理やり元に戻すと、おずおずと伸ばしてきた細い腕を取った。
「個人を捨てるな。お前はかごめだろ。」
あとになって思った。合意ありみたいだから別に約束して後々ここで会っても、人間界に駆け落ちでも良かったかも。
それはそれで、後々すげえ面倒だから言わないで、内心で思うだけにした。
「魔王様が追いかけて来るかも」
「そんときゃ追い返す。俺は俺のやり方でやるから」
俺の執着になってくれと、かごめを抱きかかえて耳元で囁くと小さくこくん、と頷いた。
あーあ・・・・やっぱり俺、どっかで弥勒の性格伝染しちまったのかもなぁ・・・なんて軽いことを考えながら羽を伸ばした。
少しもしないうちに、聖と魔の守護者が協定を結び、3界纏めて守護するようになったっていう話はあっという間に広がって、未だに賛否両論が叫ばれているけど、とりあえずは近くの温もりさえあれば、個人の俺にとってはどうでもいいことだった。
FIN
天使と悪魔。
普通逆なんだろうけど、人と違うことするの大好き人間にやらせるとこんなことになります(笑)
魔と名の付く者は魅惑的な美貌を持って人を惑わすっていうし。犬夜叉が天使とかもうキモいキモいとボロクソ言ってましたがかごめちゃんを悪魔にしたかったという理由で天使☆(滅)
本当はこういうパラレル書きたかったんです。これから先もどうやって二人がラブラブ(古ッ)になっていくかちゃんと考えてたんです。でもかなり無理あるしなー没にするのも勿体無いしなーとか思っていると、お題の中に丁度これがあったんでリサイクル。
こんなおもくそ和風な名前の天使いたら爆笑しますよ私(酷いよ)(11/6記)
(おまけオフレコ←収録したんか)
弥勒(以下弥):犬夜叉、かごめ様・・・・・
かごめ(以下か):・・・・・・・・ごめんなさい
珊瑚(以下珊):予定よりずいぶん早く決着ついたね・・・・
犬夜叉(以下犬):なんか文句あるのかよ!?
弥:いや、文句はないが・・・・・お前らしいなあとは思ったが
犬:じゃあいいじゃねえかはっぴーえんどってやつだろ
か:だってでも犬夜叉がすごい優しい顔して耳元で囁いてくるんだもんっ(混乱中)
珊:はいはい、そんなに簡単に絆されてたらこれから先大変だよ?
七宝(以下七):というか、おらの出番なかったんじゃが・・・
弥:それは犬夜叉に文句言いなさい。展開すっ飛ばしまくって七宝の出番も削ったんですから
七:くぉら!犬夜叉ぁ!おらはただでさえ少ししか出番がないというのに何すんじゃぁ!!
犬:ああ?うっせーな。展開順に行ったらかごめには触るのすら半年後だぞ。待てっかよ
弥:お前、素直になったら自分の欲求に忠実すぎだろう
犬:じゃあお前は違うっていうのかよ。
弥:いや(きっぱり)舞台裏で十分いちゃつかせてもら(ごふう)
珊:ななな何バラしてんのよ馬鹿ぁ!
か:(珊瑚ちゃん墓穴・・・・・)
七:・・・・それにしても犬夜叉が天使なんてなんか合わんのう。あれじゃろ?あの羽つけた鳥の妖怪みたいな・・・・
か:あー、それ私も散々犬夜叉と言い合ってた。絶対似合わないよねー?
弥:最後はもう配役上仕方ないからって全員で宥めたしなぁ(ちなみに最後に説き伏せたのはやっぱりかごめだった)
犬:・・・・天使って幸せの象徴とか言われてんだろ?だったら・・・・かごめの方が似合うじゃねえか
か:(赤面)い、犬夜叉っ!なんでそういうことさらっといえるようになったかなぁ!?やっぱり弥勒様のせい!?
弥:私ですかぁ?;
珊:ありえるー。犬夜叉に変な知識とか口説き文句伝授したんじゃないだろうねー?
弥:まさか。まぁ私の行動を見ていて犬夜叉が勝手に学習したなら有り得ますが
珊:似たようなもんだー!!!(鉄拳)
弥:ごふっ!
か:さ・・・・珊瑚ちゃん・・・・・;
犬:・・・・(←本当はかごめに対して遠慮してたら永遠に平行線なのに気付いたから開き直っただけ)
お粗末さまでした。
*完全パラレルとして切り離して考えている話なので、このオフレコ対談は間に受けないでください(笑)
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