※犬かご桔梗。苦手な方はブラウザをチェック・アウト☆(雨の日はノーサンキュー聴いてたらしい)
好きでしたただ純粋に好きでしたでも今はそんな気持ちにグッドバイ。
綺麗事を抜きにして、自分が色んな輩に狙われていることへの自覚は十分にある。
曰く、半妖の肉は珍味だとか、食らえば美容にいいだとか、そんな理由だったり、今まで闘ってきた妖怪たちの恨みが原因だったり。
だからこそ、朔の夜はずっと寝ずに朝を迎えたり、常時の夜でも深い眠りにつかないようにしたりと、その習性がしっかりと体に染み付いていたりする。
しかし、かごめという少女と出会い、知り、共に過ごしてきた中で生まれた淡い感情は、かつて想い合っていたかの巫女との逢引よりも色気に欠けているかもしれない日々でも、少年の中で確実に大きくなる幸せを増長することにしか繋がらない。
要は、たとえ焔の川の中を泳ごうが、瘴気の海を突っ切ろうが最終地点にかごめという存在さえあれば何処でも幸せになれるのだ。
いやはや、まったくもって安い男・・・・・・いや、もとい、幸せな少年なのである。
しかし、しかしだ。
かの出来事も、今回ばかりは少しマイナス方面に傾いてしまったのかもしれない。
少女の匂いが傍にあるというだけで、安心して熟睡してしまうようになってしまった。
普通の人間としてはそれは単純に喜ばしいことなのかもしれない。
しかし、この戦乱の世を、しかも先陣切って走り抜けるような真似をしている一行の切り込み隊長的存在の少年がそれではどうだろう。
周りは、かごめを含めて全員が、「少しはのんびりという言葉を覚えろ」と苦笑交じりで言ってくれるので、それに甘えていた部分もあるかもしれない。
そして少しだけ言い訳をするならば、明日は朔夜なので、妖力が普段より弱まっている部分もあるのだろう、と。
まあ、多少言い訳したところでこの状況がどうなるとは到底思えないのだが。
「・・・・・・・で、理由訊いてもいいか。俺はなんでお前に襲われてるんだ?」
「・・・・・・分からぬか?察しの悪いことだ」
犬夜叉の上にのしかかり、妖艶な笑いを浮かべる巫女。かつては想い合い、しかし浅ましい野盗の邪念により憎みあうことになった、そんな関係だった女性。
目を細めながら、緩慢な動作でそっと少年の頬の線をなぞる姿は、見る者が見れば、想いを遂げられない憐れな身の上の巫女が意中の相手と添い遂げたいが為に自ら身を委ねに来たという光景に見えなくもない。
ただし、女性の手に持たれた小刀と、それを片手で取り押さえる少年、ついでは常人には見えぬようなどす黒いオーラを女性が漂わせていなければ、という大きな注釈が設けられる話ではあるが。
第一、一見冷静に見えるがよくよく耳を凝らせばぎりぎりと静かな攻防戦が繰り広げられている、何かが締め付けられる音が聞こえてくる。
万が一、事情を知らぬ誰かがこの様子を“近くで”見ていたら、それこそ三角関係のもつれから愛憎劇に変化して、元彼女が元彼氏を殺しに来たという今時流行りもしない昼ドラマ的な展開を連想させるのは想像に難くない。実際、あながち間違いでもないことだし。
「少なくとも、ここ最近お前とは接触取ってないからお前の怒りに触れるようなことはないと思うが」
「・・・・・・・・・・・・・・・・今朝」
「ああ?」
彼女の笑みが深まる。それはもう、綺麗に。
周りの仲間たちが狸寝入りなのか本気で寝ているかどうかは定かではないが、いい加減誰か起きてこの状況を助けてくれと犬夜叉は思う。
「かごめが腰を痛めていたみたいだが、何故だろうな?」
うわ、絶対すごい疑われてるこれ。
何故彼女が・・・・桔梗がここまで怒っているのか嫌なくらいに理解した犬夜叉は思わずひくりと引き攣った笑いを浮かべた。
「・・・・待て、多分お前が想像してるのと事実は確実に噛み合ってないと俺は思う」
「誰もお前の意見なんぞ訊いていない」
一刀両断ですか。
容赦ない桔梗の言い様にさすがの犬夜叉も黙り込む。
「まあ、たとえだ」
頬に触れていた指先を少年の頚動脈まで移動させて、少し体を離す。
「お前がかごめとそういうことを致した関係であればこの場で息の根を止めるなり何なり出来る訳だが、そうでなくてもみすみすかごめに怪我をさせたということに対して、お前にそれなりに罰が必要だな?」
そこで違うと首を横に振れないのが悲しいかな、犬夜叉である。
「というわけで、自己申告するならたとえ致していても半殺し、怪我させていたら右で許してやるから早く言え?」
そう、笑顔で言われて、少年に否定すべき要素は何も存在しないのだと宣告されたも同然で。
翌朝、「そういえば昨夜はすごかったですな。女性とはいえやはり鍛えた女子の右すとれーとはすごく綺麗に決まるもんですなあ」などとのたまった法師に、綺麗な右ストレートをプレゼントしたため、かごめにおすわり5連打というおしおきを頂いた犬夜叉は内心で固く誓うのだった。
(もう絶対かごめに怪我させねえ・・・・・・・!)
決意を改める理由がかなり情けないことは、当面少年と巫女、寝たふりしていた弥勒だけしか知らない。
他の皆は素で寝てました。
まあほら・・・・犬に右ストレートアッパーかましてる桔梗様を想像してほくそ笑んでください(笑)
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