番外編 壱   心配の種






つい先日から、山で出逢った少女と、ひょんな事から同居する事になった犬夜叉。

彼が自分から誘って、少女を迎えたのだ。其処に異議などあろう筈がない。

彼女の持ち前の明るさのお陰で、犬夜叉は随分と助かっていたりするのだ。
今となっては・・・例えの悪い言い方だが彼にとって、かごめは拾ってきた猫に愛着が湧いたように可愛いのだ。
だから、なのだろう・・・

「如何です?かごめ様、今週の金曜、もしお暇でしたら・・・」
「かごめは暇じゃねぇよ。とっとと失せろ 助平ヤブ医者。」


かごめに寄ろうとする悪い虫を追い払うのが、彼の家での役目のようになっている。

ちなみに、かごめに他言は無い。

・・・とか云うよりかごめにしてみれば、拾われた恩もあるし、何よりこんな小競り合いがあった日は必ず犬夜叉は出掛けない。
そう云う訳で、普段から犬夜叉と一緒に居たいと云っている彼女が、彼が珍しく家に居るというのにその誘いに乗る筈がないのだ。
そして勿論、その行動は彼等にとって計算済みの事なのである。



・・・その様は、傍から見てれば恋人同士だが、本人達は気付いていないし、お互いそんな風に意識していないのである。
だから見方によっては過保護な父親と純真無垢な一人娘とも見れるのである。




・・・と。
まぁ、とにかく彼等の日常とはこんなもんだ。
更に付け加えるのならば、その『悪い虫』が、弥勒の場合、まず間違いなく羅刹のような雰囲気を醸し出した珊瑚の攻撃が来るのもまた、日常茶飯事なのである。




「ねぇ、犬夜叉。」
「あ゛ー?」
彼とは目を合わせずに、彼の隣で黙々と洗濯物を畳んでいるかごめに、犬夜叉もまた、目を合わせようとはせずに、面倒くさそうに、時折走らせているシャーペンを止まらせながらも参考書を睨みながら愛想なく答えた。

「・・・それ(問題)、難しい?」
「・・・難しいから考えてんだろーが。」
「やっぱり?」

犬夜叉はイキナリ何を訊きだすかと思えば、と云わんばかりの目でかごめを見た。
で、かごめは・・・・

「・・・問【7】の(3)、間違ってる・・・・」

ぽつり、と独り言のように注意する。

「へっ?!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あ゛。」

かごめの指摘に、暫く考え込んで、みると・・・・・間違っている事に気付く。
一部、書く場所を間違えてそこから解答がズレている。・・・否、そーゆー事じゃなくて・・・

恐る恐る、尋ねてみる。

「なぁ、かごめ・・・もしかして・・・判るのか?コレ・・・」
「うん。去年やった気がする」

さらりと云われ、犬夜叉は脱力した。
ちなみに、今犬夜叉がしているのは大学三年レベルの数学。
加え、かごめの年齢は聞いた限りでは16歳・・・・・


「お前・・・・・・高校過程の勉強、何時した?」

「え?・・・・・・・・さぁ・・・あ、何かそんな事云ってた人居たかも・・・3年前・・・」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
















それだけの知識を持っておいて、何故一般常識や恋愛事情を全く知らないんだ・・・・・?

もしかして、こいつ相当天然ボケなんじゃないだろうか・・・?










とある休日の曇り空を見ながら、彼はそんな事をふと、真っ白になった思考回路の中で、ぼんやりと考えたそうです・・・。



   【終】

英才教育受けてたんだよ彼女・・・(裏設定)。
番外はギャグオンリーなのです。あとあまりにも本編が暗いから+説明の無い箇所が多いから補足としての役割なんかもありまする。
大体二話と三話の中間くらいかしら・・・。
まあとにかく、確実に云えるのは、今現在のかごめちゃんは犬夜叉が全てだから・・・判断の権利は・・・・(笑)。
余談ですがかごめちゃんは犬夜叉に撫でられるのがお気に入り(猫に戻ってるよ・・・・)。